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2008*09*30 Tue
23:18

新しい小説考えてます

今回はだいぶ間が空いてしまったんですが・・・

とりあえずこのサイト見ている人少ないから大丈夫・・・(笑)

完成2


書いて色塗りました。

普通に塗ろうとして挫折しました。

でもこれベタ塗りではないんであしからず。

一応グラデーション重ねて塗ってます。

でも手抜きだったりして・・・

小説はまた近いうちに載っけたいと思います。
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*

2008*09*20 Sat
23:45

何ページくらい書けばちょうどいいんだろうか?

夢を見ている気がする。というのも変な表現ではあるのだが、眠りながらにして映像を見ている限りそう表すしかないだろう。
そう、智晴は夢の中で自分の過去を垣間見た。
懐かしい思い出、辛い思い出や目を覆いたくなるような恥ずかしい思い出など今までの人生の所々を映像にして見ている。例えるならばビデオカメラを再生しているような感覚だった。
そして、これが深唖の言っていたヒントなのだろう。
しかし、自分の過去のどこの映像にヒントが眠っているかなんていうのは分からなかった。あるいは過去そのものがヒントなのかもしれない。そう考えたがあまりにも抽象的で膨大すぎるものが果たしてヒントになりうるものなのだろうか。そう思うと余計に分らなくなった。
礼乃も自分と同じく過去の映像を見たのだろうか。それとも別のものを見たのか。それは聞いてみるしかないだろう。それよりも怒鳴ってしまったことについて謝らなければいけない。振り返ってみると自分でも何をしているのかよくわからない一日だった気がする。自分では気付かないが疲労が溜まっているのかもしれない。だがそれでも行動を起こすのは自分なのだ。気をつけなければいけない、そう思った。
その時変に違和感を覚えた。何故こうもはっきりと過去の映像を見ることができ、こうも冷静に物事を考えることができるのか。おかしなことだった。今夢を見ている。自分がただ夢と認識しているだけなのかもしれないのだが。しかし、過去の映像を見るなんていうことは夢でしかありえない現象だろう。もしこれが夢でないのだとしたらこれは本の力に他ならない。全くもって不可解な物体である。
しかし、よくもこんな普段ではありえないような論理的な思考を巡らせているのか。そう思うだけで笑いが込み上げてきた。
不意に自分の笑い声ではなく何か別の音が聞こえたような気がした。
もう目覚めが近いのだろう。智晴は直観的にそう感じ取った。
そしてこの夢の世界に向かっておやすみと言って目を閉じた。

~♪~♪~♪
目覚ましのアラームで智晴は目を覚ました。
天井を見ながら今自分は礼乃邸にいることに気がついた。おそらくあの後に礼乃が智晴の母親に頼んで車で家に運んでくれたのだろう。
~♪~♪~♪
携帯から再びメロディーが流れた。そういえばスヌーズ機能を切っていなかった。スヌーズを切ってから画面に表示されている時計を見ると日付が変わっていた。どうやら昨日意識を失ってから今まで眠っていたらしい。いくらんでも眠すぎだ。しかし、起きた時間は余裕をもって支度が出来る時間だった。今日から最低二日礼乃の通う女子高、聖リィシア学院に通わなくてはならなかった。
いつもとは違い目がはっきりと冴えているため二度寝をせずにベッドから出た。
その時、ぐ~。智晴の腹が鳴った。そういえば昨日の昼から何も食べていないことに気づいた。取りあえず着替えを後にして食事をすることにした。
リビングに降りると礼乃の母親が仕事に行くのか慌ただしく動いていた。
「あら、礼乃。おはよう。」
「お、おはよう。」
礼乃の母親は智晴が二階から降りてきた気配を察したのか智晴に目を向けずに朝の挨拶をした。
「悪いのだけれど今日の朝ごはんもパンでいいかしら?また急な仕事が入ってしまって。」
「いいけど。」
「じゃあ、あと戸締りだけよろしくね。」
いってきます。と礼乃の母親は家を出て行った。
どうやら父親は帰ってきてないらしく母親が出かけてから礼乃の家は静まり返った。
昨日も思ったことだが礼乃の家は寂しい空気で包まれている感じがした。
ぐ~。再び智晴の腹の音がした。空腹も限界に近付いていたため洗面をささっと済ませて食パンを焼いて食べることにした。
一人で黙々と食事をしていてもやはりつまらないためテレビをつけた。
朝からそんなに見たいテレビはないため普段家でもかかっているメザマシTVを見ることにした。
今画面に映っているのは政治についてだ。現代の日本の教育社会がどうのこうのとか野党がなんたらかんたら、とよく理解できない議題で政治家が国会議事堂で議論をしている。政治について全く興味はないのだがこれから大人になって社会に出ると嫌でも知らなくてはならないのかな、と思っていると主張している議員の中に見覚えのある顔があった。いくら政治に興味がないとはいえ流石にテレビで見た顔くらいはある、その人だろうと思ったがそうではなかった。それはつい二日前ここ礼乃邸で見た顔で、そこに映っていたのは礼乃の父親だった。何と礼乃の父親は国会議員だったのだ。どうりで家に帰ってこないわけである。ということは母親も母親で何か忙しい仕事に就いているのだろう。そして娘はかの有名なお嬢様学校である。いやはや何ともすごい家族である。
トーストを食べながらゆったりと朝の食事を満喫している最中ピーンポーンとインターホンが鳴った。こんな朝早くから誰が来たのだろうと首を傾げながらインターホンの受話器を取り、どちら様?と答えると『成美で~す。』と朝から元気のいい声でそう返ってきた。石杖成美、実に出現率の高い奴である。ドラクエでいうなら初期の頃のスライムといったところか。しかし初期段階のスライムは強敵として出現する。それ故に成美はなんとか攻略せねばならない存在だった。そして、ここでレベルを上げておかなければ後ほど行くことになる魔物の巣窟(聖リィシア女学院)で完全に屍と化す!!
『あきちゃん?聞いてる?』
完全に妄想に浸っていた智晴が我に返り
「聞いてる聞いてる。でもどうしたの朝早くから?」
と聞いた。
『どうしたのって、いつもこの時間に来てるじゃん?』
「冗談冗談。待ってて、今玄関開けるから。」
そんなことは知らない智晴は怪しまれるよりも先に成美をさっさと家の中に入れることにした。
「おじゃましまーす。」
玄関で靴を脱ぎながら成美がそう言った。
「ところであきちゃん。まだ制服に着替えてないんだ。珍しいね。」
「え。そう?」
やはり礼乃はしっかりした性格らしく朝食前には身支度を済ませているらしい。余裕をもって行動というのがモットーなのだろうか。そちらにせよ食事も済ませたことだし着替えることにした。部屋で嫌々ながらに制服に着替えリビングに降りると成美はテーブルで何やらプリントを眺めているようだった。
「何してんの?」
「え?これあきちゃんのプリント。昨日会えなかったからさ。」
そういえば昨日学校に提出するプリントを渡してもらう約束をしていたのだ。不可抗力とはいえ完璧にすっぽかしていた。それどころか昨日色々ありすぎて今の今まで忘れていた。
「あきちゃんが約束の時間守らないなんて珍しいと思って電話したら男の人が出て説明してくれたんだよね。あれが彼氏?」
成美はにやにやしながら問いただすように聞いてきた。
「違うよ。そんなんじゃないって説明したっしょ。でもごめんね約束破って。」
「いいよいいよ。もとはと言えば私が悪いんだからさ。」
気にしないで、成美は言った。
成美も激しいスキンシップさえなければいい子なのだが、と思う瞬間だった。
「でもさ、このプリント何?同じクラスの私ももらってないよ。」
「あはは。」
「え、私もらい忘れ!?」
もちろんそのプリントは智晴の学校で配ったプリントである。逆に成美が持っていたらそれこそ変な話になる。
「そうじゃないから気にしない気にしない。」
「だったらいいんだけどさ。あ、あきちゃんそろそろ支度したほうがいいんじゃない?」
「大丈夫、問題ないよ。さっき一緒に取ってきたから。」
先ほど部屋で着替えた後に時間割表を見ながらさり気に教科書やらプリントの入ったファイルやらを鞄に入れて持ってきておいたのだ。そこら辺には抜かりはない。
「それは知ってるけど、お昼ごはんいいの?」
「昼は、購買かどこかで何か買えばいいよ。」
「え、学校に購買ないじゃん。周辺にコンビニも。」
問題大ありだった。というか周辺にコンビニもないのかリィシアは・・・。
それよりも昼御飯がないのは痛い。さきほどの礼乃の母親や今の成美の発言からして礼乃は昼御飯を自分で作って持って行っているのだろう。それは早起きもしなければならないはずだ。ここで早めに設定された目覚まし時計の意味がわかった。しかしこのままでは昼御飯が確実にない。どうするか。自分ではまず作れない。というかそもそも料理自体そんなにしたことがない。冷蔵庫の中身を適当に持っていくか。しかし、見たところ弁当に詰めていけるほどのものはなかった気がする。
智晴がああやこうや一人でぶつぶつ言っていると
「この所あきちゃん何か変だね。」
「そ、そう?疲れてるだけかもしれないよ。」
鋭いところを突いてきた。普段とかけ離れた行動をすればそう思われても仕方がないのだが。
「疲れてるなら今日は私が作ってあげるよ。」
そう言うと成美は冷蔵庫に向かい中を見ながらおもむろに材料を取り出した。
「サンドウィッチなら作れそうかな。それでいい?」
「う、うん。」
サンドウィッチ、その手があった。これなら短時間で簡単においしいものが出来る。この時初めて成美が頼りになる存在に見えた。
智晴が感動の眼差しを向けている最中で成美はテキパキとパンの耳を落とし中にバターを塗り具を次々とはさみどんどんサンドウィッチを完成させていった。そう、どんどんと。

「・・・・・。」
6枚切り食パン三袋分のサンドウィッチを作り終えた成美はそれを一つ一つ丁寧にラップで包み戸棚に入っていたバスケットに詰めていった。どうやら礼乃邸は勝手知ったる家らしい。
「よし、出来た!」
「わー。」
パチパチパチと智晴が適当そうな声を出し拍手をした。その顔からは先ほどの感動の眼差しは欠片も感じられなかった。誰がこの量を食べるのだろうか。この雰囲気ならばもちろん食べるのは自分しかいないのだが。
「それじゃあ学校に行きますか。」
成美が腕時計を見て時間を確認しながら言った。
「そうだね・・・。」
魔の巣窟に大量の昼ごはんの不安要素も新たに加わり一層ブルーな気持ちに陥った智晴は鞄とさり気無く思いバスケットを片手に玄関へと向かった。
*

2008*09*19 Fri
23:23

とりあえず展開が速すぎる?

部屋の中の緊張感は無くなったが変なわだかまりが残ったこの雰囲気は話を聞ける状況ではなかった。そのため雰囲気を少しでも変えようと礼乃が智晴を連れて一階のリビングへとお茶と茶菓子を取りに行った。その間で智晴が説教を食らったのはいうまでもない。
 その後、二人が部屋に戻り智晴が秀吾と蓮に向かって謝罪をしたことにより完全ではないものの場の雰囲気が元に戻った。
 「それじゃあさっきの話の続きをよろしく頼む。」
 「ああ。まあ、その、なんだ。付き合うといっても俺と明野が恋人同士になるっていうわけではないんだ。」
 秀吾が智晴のほうをちらっと一瞬伺いながら言った。
 「じゃあなんなんだ?」
 「おいおい、忘れたのか?ついこの間お前も誘っただろ?」
 礼乃が何が何だか分らないという顔をしているのを横目に見ながら智晴もそのことを考えてみた。
 そういえば休日前くらいに何かに誘われていたような気がする。しかし、その時それについて特に興味がわかなかったためか流し流し曖昧に聞いていたような気がする。つまるところ秀吾から何に誘われたかは知らないにも等しかった。
 秀吾は礼乃の混乱した顔を見やると溜息をつきながら話した内容を再び説明しだした。
 秀吾の説明を聞いて思い出したのだが、その時話していた内容は文化祭のことで、そこで蓮が何か有志の出し物に参加することになったので協力する人を探しているらしいという事を話していた。その時参加するかどうかを聞かれていたのだ。それを思い出したのならば先ほど秀吾が言った“付き合うという”言葉も理解できた。
 文化祭まではあと一週間弱しかない。そんな時期に誘いを受けるとは思いもしなかった。普通ならば受けることはないのだが他ならぬ蓮の頼みであるし、そんな無理なことはしないだろうと思った。しかし無理なことをしないとは限らないわけである。そのため蓮がどんな有志の出し物をするかを聞いてみた。
 聞いてみると蓮は少し恥ずかしそうな表情を作っていからゆっくりと口を開いた。
 「実はね、演劇をしようと思うの。」
 演劇。文化祭ではほぼ定番と言ってもいい出しものだ。しかしそれ故に難易度が高く問題点も多い。憧れを多くもつがその半面敬遠されやすいものでもある。しかし、それを押しのけて蓮は演劇をやりたいらしい。
ならばおそらく大道具関係を手伝ってほしいのだろう。道具を運ぶ男手は貴重な戦力になる。そういうことならば手伝ってもいいと思った。しかし、次に蓮の口から飛び出してきたものはそんな予想を完璧に覆すものだった。
「そこで智晴君には役者をやってもらおうと思うんだけど。あ、もちろん主役とかじゃないからね。でも、この劇には重要な役なんだ。」
智晴は目が点になり驚きはしたが思考はいたって冷静であった。結論から言うと無理である。時間が足りない云々もあるが自分に演劇など出来るはずがない、そう思った。それに経験もない自分が付け焼刃の演技をしたところで劇の雰囲気を悪くしてしまうだけだろう。そう思うとなおさら参加するわけにはいかなかった。
「智晴だったら出来るだろ?中学の時授業でやった演技は見事なもんだったしさ。」
褒めてもらってはいるがたかだか授業の中でやった小芝居の話である。演劇とは何から何まで違いすぎている。
「どうかな、智晴君?」
蓮が真剣な眼差しで返答を聞いてきた。
だが、無理なものは無理である。そのため礼乃に自分の答えをこっそりと伝えようとした。
「いいよ。任せて。」
礼乃は智晴の答えを聞く前にその役を請け負ってしまった。
「ホント!?」
「うん。できうる限りの努力で頑張ってみるよ。」
礼乃は智晴の気持ちとは裏腹に笑顔で蓮に握手の手を差し出した。そして蓮がその手を握ると上下にぶんぶん振りだした。数秒それが続くと蓮が何かを思いついたように手を離し自分が持ってきた鞄の中から台本と思われる本を二冊取り出しそのうちの一冊を礼乃に手渡し自分の台本を開きながら必要最低限の簡単なことを説明しだした。
そして、蓮は一通りの説明を終えると、また詳しい話は明日学校でと言い秀吾と共に自分たちの家へと帰って行った。

「頑張らないとね。こっちもそうだけど文化祭も!」
礼乃がベッドに座り背伸びをしながら言った。
「勝手なこと言うな・・・」
「ん?」
「何で引き受けたんだよ・・・。」
「何でって、蓮ちゃんの頼みだよ?ここで引き受けとけば好印象じゃない!」
礼乃が笑顔でチャンスだよ、と言った。
「ふざけるな!!無理なものは無理なんだよ!!最初のうちはお前がやるかもしれないけどあとは全部僕がやるんだぞ、わかってるのか!!」
礼乃の楽観的な態度に対し非常に腹が立った。
「まだやってもないのに無理って決めつけるの?」
礼乃の口調、そして視線が冷たいものへと変わっていった。
「・・・っ。普通に考えろよ・・・。」
「そう。悪いことしたわね。」
礼乃の態度は完全に呆れから軽蔑へと変わった。
「でもまだ時間はあるからゆっくりと考えて。私の独断とはいえ一度は引き受けてしまったんだから。」
その言葉に智晴は何かを返そうとしたのだがそれ以上何も言えなかった。
そして再び部屋に少しの沈黙が流れた。二人は口を開かない。ただカチコチと時計の針が進む音が聞こえるだけだった。
智晴がふと顔をあげ時計を見るともうすぐ午後3時になろうかという頃だった。そういえば昨日本が光ったのはこのくらいの時間だったか。そうおもった矢先部屋の沈黙を破るかのように鞄の中に入っていた本が光りだした。
それには二人ともたまらず反応した。
智晴が恐る恐る鞄の中から本を取り出し適当にページを開いてみる。しかしそこにはやはり何の文字も現れていなかった。そのため他のページを確かめるためにパラパラとページをめくり出した。
「待って!」
礼乃の静止がかかった瞬間智晴の意識は本に吸い込まれるかのように途切れた。
*

2008*09*18 Thu
22:20

もう来訪者皆無です。

先ほどの会話で知りたいことは知りえたのだがどうにも解せないところがあった。何より何故ああも都合よく深唖は自分の前に現れることができるのか、何故自分が言っていない質問にすら答えることが出来たのか、それが疑問だった。もしかして自分に発信機や盗聴器でもついているのだろうか。それとも魔法使いだからなのか。非現実的なものはあまり信じることはできないタイプなのだがこれほど不可解な点が多いと嫌でもそう考えてしまうときがあった。
裏道から歩いてしばらく経っていたため自宅にもう目の前だった。そこで智晴は今考えていることを頭を横に振って新たな思考へと切り替えた。礼乃に何が起こっているのかは分からないが自分が弱気になっていてはどうしようもない。
「よし。」
再び気合を入れなおしインターホンを鳴らした。
するとすぐにドアが開き切羽詰った表情の礼乃が勢いよく出てきた。
「体は大丈・・・。」
智晴が言い終わる前に礼乃は何も言わず、引っ張るように智晴を家の中に入れ靴を脱ぎ終わるのを待ってから再び手を引っ張りながら智晴の部屋へと連れて行き押し込むように中に入れた。
智晴が部屋に入ると先ほど考えていたことや玄関先で入れた気合などは全てどこかへと吹き飛んでいってしまった。
「あれ、君はこの前の。」
部屋に入ってきた智晴を見て座っていた男が声をあげた。
そこにはとても見覚えのある顔があった。厳密にいうともう一人男から少し離れたところに女の子が椅子に座っていた。親友新居秀吾と思い人である明野蓮だった。
その光景を見た智晴はゆっくりと後ずさり礼乃の腕を掴んでゆっくりと部屋を出てそしてゆっくりと扉を閉めた。
「何であの二人がここにいる!」
本当は大声で尋ねたかったのだがたった一枚の扉を挟んだ向こうの部屋に二人がいるためそれは叶わなかった。
「こっちが聞きたいわよ。急に来たんだから。何回も電話したのに出てくれないし。」
礼乃も大きな声が出せないため智晴を鋭い目つきで睨みながら言った。
「う・・・。それは悪かった。けど何であの二人は来たんだよ?」
「何か相談があるらしくて、それで来たんだって。」
礼乃が額に手のひらを当てて壁に寄りかかった。
急に見ず知らずの他人二人がやって来て相談に乗ってくれなどと頼まれたらそういう対応をしていいのか分からなくなるのは当然のことだろう。現に智晴も成美の扱いには四苦八苦している。一人でも辛いものを二人同時に乗り切ることは難しい。しかし今回はただ会話をするだけでなく相談なのだ。お互いのことを分かった上でしか出来ない相談を初対面で行うのはまず不可能なことだろう。
「どうしたんだ智晴?」
部屋の主が突然外に出たのを心配したのか秀吾が扉を開けて様子を見にきた。
「い、いやなんでもないよ。」
声を引きつらせて礼乃が言った。もう少しで声が裏返るところだったのか喉を押さえていた。
廊下で礼乃とこれ以上相談していてもどうしようもなかったため智晴は礼乃に部屋に入ろうとアイコンタクトをして秀吾の後に続いて部屋の中に再び入った。
入るなり蓮が智晴の方を見ながら
「智晴君、この子は君の彼女さん?」と聞いてきた。
その言葉に対して礼乃が困ったように何か言おうとしたがそれよりも早く智晴が言葉を発していた。
「違う!えっと私は智晴の親戚で、そんな関係じゃないよ。というかこんなんが彼氏のわけないじゃない!」
自分で自分のことをけなしているのはとても悲しい気持ちになるのだが自分に彼女がいるという誤解を蓮に与えるよりかは何倍もいいと思った。
「それより二人で一体なんの相談をしに来たんだ?」
智晴の必至の弁解を聞いて気を利かせてくれたのか礼乃もすかさず次の話題へと移るフォローを入れた。だがこのとき礼乃は気を利かせたのではなくなるべく早めに二人を帰し昨日起きたことについて議論をしたいという気持ちだった。
「ああ、実はな智晴・・・」
この展開は漫画や小説的に言うとかなりまずい展開である。そう智晴は感じ取り、すかさず予想されるであろう未来を想像してみた。
よくある展開の一つとして最も有力であるのはこの後に
「俺達付き合うことになったんだ。アハハハ。」
というセリフが来る。これが最も考えたくない展開だ。しかし、もう一つ考えたくない展開がある。
それは、
「実は俺お前のことが・・・!!」
というセリフが来る展開・・・。智晴が堪らず口を押さえた。想像してしまった自分が愚かだった。考えただけでも吐き気がしてくる。どこぞのBLゲームの展開だろう。だが有力といっても自分はもちろんのこと秀吾にもそっちの気はないと知っているので大丈夫だろう。しかし、それを考えると最初の展開しか考えられなかった。
「ど、どうしたの彼女?」
頭を抱え悶えていた智晴を心配そうに見ながら礼乃に聞いた。
「無視して話を進めてくれ。」
礼乃が智晴を心配ではなく呆れるような目で見ながら秀吾に言った。
「あ、ああ。実はな・・・。」
再び先ほどの会話が再開された。智晴の部屋はかつてないほどの緊張で包まれた。この雰囲気では智晴でなくてもおかしな想像をしてしまうことだろう。実際礼乃も秀吾が何か突拍子もないことを言うのではないだろうかと考えていた。
「実は付き合うことに・・・」
その言葉に頭を抱えて悶えていた智晴が覚醒しその勢いで秀吾の胸倉を掴みかかった。
「てめぇ、ふざけんなーーーー!!」
「え、え、えぇ!?」
先ほどまで会話に入っていなかった女の子にいきなり胸倉をつかまれ因縁をつけられたためどうしていいかわからない秀吾は咄嗟に礼乃に向って手を伸ばし助けを求めた。
いきなりの行動で固まっていた礼乃も秀吾の仕草に気付いてか智晴を止めようと手を伸ばしたとき秀吾の頭上から手刀の形でチョップが智晴目掛けて勢いよく飛んできた。礼乃に助けを求めた秀吾や智晴を止めようとしていた礼乃はもちろんだがチョップを受けた智晴にも何が起きたか理解できずチョップの反動と痛みにたまらず胸倉を掴んでいた両手を離した。
智晴が上を向くと蓮が右手をさすりながらこっちを見ていた。
 「痛かった・・・?」
 何故かそう聞いた智晴の問に涙目になりながらコクと頷いた。中々に痛かったのだろう。それは叩かれたこっちの頭が証明してくれている。結構本気だったようだ。
 「何をやってるんだキミは!」
 礼乃にいきなり腰を掴まれ後ろに引きずられながら秀吾から引き離された。その時ポソっと耳元で「気持ちは分かるけどここは落ち着いて」と言われた。どうやら礼乃にはバレバレだったらしい。ということは蓮にもばれているのかもしれないと思ったが女の子の中で蓮は恋愛事にはニブイと言われていたことを思い出した。しかし、それはそれで悲しいものである。
*

2008*09*14 Sun
00:15

魔法使い?いいえケフィアです。

カーテンからうっすらと差し込んできた日差しが智晴の目に入ってきた。
体は変わっても意識は変わっていないためどうしても普段の生活習慣が抜けることはなかった。
体を起こし、カーテンを開けるともう日が高くなっていて昼頃であるだろうことがわかった。目覚ましをセットしたはずなのにそれに気づかないくらい熟睡していたのだろう。今が何時かを確かめるために枕元に置いてある携帯を見るとマナーモードになっていた。通りで起きられないわけだった。それと携帯を見てもう一つ気がついたことがある。携帯の着信履歴がすごいことになっている。一体誰がこんなにかけてきたのかを見ようとしたとき携帯が振動した。見覚えのない番号だ。
通話ボタンを押してみる。
「もしもし。」
「いつまで寝てるんだキミは!!」
耳に当てた携帯から大声で叫ばれた。そのため反射的に携帯を耳から遠ざけた。しかし、すでに耳の奥ではキーンという耳なりが響いていた。
「だ、誰?」
「自分の声を忘れるな!!」
 さっきのことをふまえ質問をしたあとすぐ携帯を耳から離していたのだがそれでも携帯から響く声は十分に聞き取れた。
 「礼乃?体はもう大丈夫?」
 「おかげさまでスッカリ元気だよ。」
 どうやら声を聞く限りでは体調に問題ないように思えた。
 「それよりも何で電話にでないんだ?何回もかけてたんだぞ。」
 礼乃の口調に違和感を覚えた。今日は妙に男らしく話している。正確な理由はわからないが近くに誰かがいることは間違いないだろう。
 「今の今まで寝てたんだから仕方ないよ。」
 「とにかく早く来て、お願いだから。」
 さっきとは打って変わって女口調の小さな声で囁かれた。何だかその声に焦りが感じられた。
 「じゃあすぐに行くから待ってて。」
 早くね、という言葉が礼乃から返ってきたところで通話を切った。
 単純に考えて何か困った状況にでも陥ったというところだろう。そのため智晴の力が必要なのだ。しかし、裏を返せば智晴にしか対応できないということでもあるだろう。その場合非常にやっかいなことになりそうだ。
下のリビングに降りると礼乃の両親は仕事に行ったのかすでに誰もいなかった。しかしそこでゆっくりしてもいられないので手早く洗面を済ませ身支度をした。時間がなかったため朝ごはんは抜くことにした。家で何かもらえば済む話だ。持って行くものはほとんどないに等しいのだが魔法の本があるため鞄を持っていくことにした。
 そして身支度を終えるとすぐに家を出鍵をかけ自宅のある遠坂駅に向うことにした。

 天城駅から電車に4駅揺られて遠坂駅に着いたとき異様な人の多さに唖然とした。都心に近いこともあるため普段でも人通りは多いのだが今日のは異常である。どこかでバーゲンでもやっているのだろか。それにしても人が多い、テレビでよく見る東京の歩行者天国を連想させる人気の多さだった。家に向うため商店街に行くと騒音のようなメロディーが聞こえてきた。そしてそこには商店街の中を埋め尽くすほどの人がいた、これではまず商店街に入ることは出来ないだろう。遠目で見る限りではスポットライトに当てられたギタリストしか見えないがどうやらここでまたかの有名なギタリストのハヤテがいるバンドがライブをやっているらしい。それに商店街に向う人たちが話しているのを聞く限りではそこにスペシャルゲストが来るということだった。そのスペシャルゲストが誰なのかは分からないが音楽のことには少し疎いのでおそらく聞いてもわからないだろう。
しかし以前と同じくこれでは商店街を通ることは出来そうにないため現在のこの状況を作り出した始まりの場所、裏道を通ることにした。やはり裏道と言うだけあって人通りは少ないのだが皆商店街に行っているのかしてほぼ人通りがないといっても過言ではなかった。
裏道を出かかるときにふとちょうどここで礼乃とぶつかったんだったと思い曲がり角を見遣るとそこに紫の羽織りを被った占い師桐生深唖が不自然に佇んでいた。
相変わらず顔は見えなかった。
「何をしてるんですか?」
智晴はいつも突然自分達に干渉してくる深唖に対し奇妙なものを見るような目を向けた。「ヒントはご覧になられましたか?」
「ええ。とても不親切なヒントでしたよ。」
深亜はヒントですから、とおどけたように言った。その口調に引っ掛かるものを感じたが、智晴にはどうしても聞いておかなければいけないことがあった。
「昨日礼乃が光った本を見ていたら意識を失いました。あれは何故なんですか?」
「それもヒントの一部で、あなた方の深層心理に働き掛けるものなのです。それに関しては礼乃さんに直接お聞きになられたほうがいいと思われますよ。あと心配なされてる身体への悪影響もござませんので安心なさってもらってかまいません。」
深唖は智晴が最も聞きたいことがあらかじめ分かっていたかのように淡々と語った。
「そうですか・・・。分かりました。」
「では期日は後4日になりますので、頑張ってください。」
深唖は口を三日月形に曲げてそういうと踵を返し路地裏へと消えていった。
それに伴い智晴も再び自宅へと足を向けた。
*

2008*09*11 Thu
22:19

疲れでスピードも文章能力も落ちてきた(泣)

本に新しく記された文字も確認したことだし、そろそろ別の作業に移ろうと家から持ってきた学校の宿題を取り出そうと鞄を開けた。
「あれ?」
開けた鞄の中に辞書や教科書は入っているのだが肝心の宿題プリントが入っていなかった。確かに入れたはずなのだがなぜそれがないのか。答えは一つしかない。商店街で成美に飛びつかれたとき鞄の中身が出てしまったときしか考えられない。
というよりもうどうしようもない気がする。街でプリントなど落としたら風で飛んでいくかゴミ箱に入れられるかして二度と自分の手には戻ってこないだろう。
うあーどうしようー、と唸っていると鞄の中から携帯のバイブレーションが響いてきた。すぐにバイブレーションが切れたのでどうやらメールらしかった。なんとなく携帯を開くとやはりメールが来ていた。送り主は・・・成美だ。なんだか嫌な感じがするのだが一応見ておくことにした。
「今晩は~。成美ちゃんでーす。商店街であきちゃんプリント落としたみたいなのでお礼にやっておこうと持って帰りましたー。学校で渡すので期待しててね~。おやすみー。」
「お前が犯人か!!」
やはり嫌な予感は的中し、つい誰もいないのに突っ込んでしまった。
とりあえず明日までにプリントを礼乃に渡さなければ確実に提出が出来なくなるため明日もう一度成美と会わなければいけなくなってしまった。
ため息をつきながら成美にメールを送った。最近ため息をつく量が増えてきている気がする・・・それで幸せが逃げているのではないか。それに不安を感じ再びため息をついた。すると手元の携帯が振動した。今送ったにもかかわらずもうメールが帰ってくるなんて、さすがは女の子。そんなことを感心しながらメールを開くと
「いいよー、でも部活がまた遠坂であるから遅くなるけどいい?」
そう書いてあった。どうせ自分も明日遠坂に行くのだから都合もよかった。それをメールにうつと成美から部活が終わったら連絡する、と返事が返って来た。これでプリント提出の危機は免れることができそうだ。
安心したら少し眠気が襲ってきた。今日もいろいろあったことだし、このまま寝てもいいと思ったがさすがに外出もしたし汗もかいていたことだし風呂に入ることにした。
では下着とパジャマを取り出そうとタンスを開けたところ、パジャマがどこにも見当たらず代わりに白地のTシャツと短パンを見つけた。
「女の子って・・・女の子って・・・!!」
自分が思い描いていた想像を完膚なきまでに叩き潰された瞬間だった。
人はファッションに気を使うが女の子というのは特に身なりに気を使うイメージがあった。いや実際にはそうなのだろう。礼乃が例外な気がした。朝に洋服タンスを開けてみたところやはり礼乃もそれなりに服のセンスはよかった。だが気を抜くところはとことん抜くタイプなのだろう。パジャマなどそうそう人に見せるものではないだろうし。
そんなこんなで、とぼとぼと歩きながら風呂に向った。
風呂に入ってみるとこれはまた驚いた。自分の家の浴槽の2倍はあろうかという大きさでやはりジャグジー付きだった。だがもちろんスイッチも入れずに風呂の湯がかってに入るわけがないのでもちろん浴槽にはなにも入ってない。そのため今回はシャワーで済ますことにした。
風呂から出るとさきほどよりも強い眠気が襲ってきたため早めに髪の毛を乾かした。歯を磨くのは自分の歯ブラシではなかったため少し抵抗があった。
そして部屋に戻り携帯の目覚ましをセットしてから布団に入った。布団に入ると相当疲れが溜まっていたのか普段では考えられない早さで深い眠りに入った。
*

2008*09*05 Fri
23:04

今日初めてお酒を自分で買ってみたw

「何であきちゃんあんなこと聞いたの?それも見ず知らずの人に。」
ちょうど商店街を抜けたところで成美が聞いた。
やはり聞かれるとは思っていたがいざとなるとどういったものか困るものである。何か適当に言ってごまかしておこうと成美のほうに顔を見やると、何かを面白いことを期待しているキラキラした眼差しの顔が向けられていた。
「そんなたいした事じゃないから気にしないでよ。」
「えー、気になるー!」
成美は引き下がらない。この様子だと少々の嘘では通用しなさそうだった。何か筋が通っているものを考えなければいけないのだがそうそうすぐにアイディアも浮かぶはずも無く仕方なく自分の事を他人の事のような説明をした。
「さっきの男の子と一緒に女の子がいたんだけど、その子のことが好きな友達がいてちょっと調査みたいなことを頼まれただけだよ。」
説明するなり成美の顔がさっきよりも笑顔になった。それと同時に背中に悪寒を感じたような気がした。
「それって朝言ってた彼氏のこと?」
「ああ、そうそう。って、彼氏じゃない!!」
「でも男の子の家なんだよね。大丈夫だよ、私にはちゃんと分かってるから。」
いとも簡単に誘導尋問に引っかかってしまった。いや、誘導尋問ですらないのかもしれないが単純な自分にため息が出た。そして何を分かってくれたのだろう。この子とは朝初めて知り合ったわけなのだが猪突猛進型というのを直感的に悟った。今までの友達や妹の経験からしてろくでもないことになりそうだった。
「あきちゃんも大変だねー。でも昼ドラみたいにならないように頑張ろうね。」
「え、どういう・・・!?」
理解した。どうやら三角関係だと思われているらしい。そしてそれに参入してくるとあきらかに言っている。
「ホントそういうのじゃないから。それに今好きな人いないし。」
と思う。礼乃(あきの)のことなので真偽のほどは定かではないがこう言っておけば怪しまれるもののその場は取りあえずしのげるはずだと思った。
「うーん。あきちゃんがそこまで否定するならそうなのかもしれないけど。」
あーあ、つまんないの。とぶつぶつ言う。
どうやら礼乃には浮いた話の一つもないらしい。隠しているだけなのかもしれないが今までばれていないというのもそれはそれで凄い事だ。
「あ、着いたね。」
話し込んでいたためか駅に着いたことどころか現在の位置にすら気がつかなかった。一人で歩くのと二人で話しながら歩くとではこんなにも違うものなのかと実感した。地元を誰かと二人で歩くことなどめったにないがこういうのも悪くない。
 
 電車に少し揺られ遠坂駅に再び降り立ったとき日が沈みかかろうとしていた。すでに成美とは別れていたのであとは家に帰るだけなのだがそのときお腹がぐーと鳴った。そういえば礼乃と話込んでいたため昼食を取っていなかったのだ。まだ夕食には早い時間なのでどこかで少し腹に入れておこうかと思い駅周辺にある飲食店に入ろうと店の前にあるおすすめメニューを見る。一番安いので2000円、高い・・・。すでに夕方なのでもちろんランチなどはないと思っていたが普通に少し腹に入れるものとしては高すぎる。当たり前だった。ここは高級住宅街である。そんじょそこらのファミレスなどあるわけがなかった。その事実に落胆しつつ大人しく礼乃の家に帰ることにした。

 「ただいま。」
帰ってきたのは駅に着いたときよりも大分日が沈んでいたときだった。寄り道していたのはたいした問題ではないのだが、その後朝通った道に出れば大丈夫と自信満々に歩いていたがいつのまにか知らないところに迷い込み右往左往していたのだ。このとき初めて自分が方向音痴なのだと悟った。悟りたくはなかったのだが。そして歩いている人に道を尋ねまくりようやく家についたというわけだった。軽い冒険気分を味わってしまった。
 居間に入ると誰もいなかった。ただいまと言ったのに返事がなかったことに納得した。とりあえずのどが渇いたので何か飲もうと思い、机に鞄を置いたときそこに書置きを発見した。
 「おかえりなさい。いつものように仕事に行ってきます。お父さんも遅くしか帰ってこれないようです。晩御飯は冷蔵庫に入っているので温めて食べてください。母。」
 読みながら再びお腹が鳴った。もうそろそろ我慢が出来なくなってきているので紙に書いてあった通り冷蔵庫を空けてみると中に野菜炒めが入っていた。これだけなのだろうかと周りを見渡すと炊飯器の中に白いご飯が炊かれていてレンジの上の鍋の中には味噌汁が入っていた。それを確認し、野菜炒めと味噌汁を温めて食卓に並べた。
礼乃の両親が帰ってこないのはこっちにとっては好都合なのだが一人で食べる食事というのは楽なものだがこうも寂しいものなのだろうかと思った。家では騒がしかったり喧嘩したりなんだかんだで会話が途切れない楽しいものだったような気がする。また元の生活に戻ったら戻ったで鬱陶しく思うんだろうが。

食事を終え満腹になった智晴は礼乃の部屋に行きソファーの上でゆったりしながら事件の発端になった紫色の本を開いた。
どうせ何も書かれていないだろうが一応見ておこうと本日何回目になるのかページを一枚ずつめくり始めた。
やはり何も書かれていないかとページも残りわずかになったとき再び本が光った。その光に驚いて本を落としてしまった。その拍子で本の別のページが開いた。そのページには光でよくは見えないが何か文字が書かれているように見える。すぐにでも書かれている文字を読みたかったが昼間にあんなことがあったため用心して光が消えるまで待つことにした。
その光は数秒ほどで完全に消えたが少し様子を見ながら再び光りださないことを確認してから手に取った。そこにはやはり新しく文字が書かれていた。
「真実は自分の奥深くで眠っている。それに気づくことが出来るのは自分だけである。真実から目をそらすな。」
書かれていたヒントはやはり真実が何かを表すものではなかったが同時に心のどこかに何かが引っかかるものでもあった。
*

2008*09*03 Wed
11:21

改めて思う作家は天才だ。

駅までの道のりを歩いているとやはり自分の住んでいる町だな、と実感した。礼乃の地元では右も左も分からなかったのだから当然ではある。そうやって歩いていると見覚えのある姿と出くわした。
 (お、秀吾だ。それと、え・・・明野?)
 自分の中に嫌な衝動と考えが駆け巡った。まさか秀吾と明野が付き合っていたりするのだえろうか。いやそんなそぶりを見せたことはないし、そんな話をきいたこともない。ただたまたま会って一緒に帰っているだけなんだ、きっとそうなんだ。そうやって自分を無理やり理性で押さえつけて棒立ちになっていると。
「あっきちゃーーーん!!」
 「どはぁ!!」
 大声で名前を呼ばれたかと思うと後ろから誰かに抱きつかれその勢いのまま前のめりに倒れた。そしてその衝撃で肩にかけていた鞄が滑り落ち、中身がばら撒かれた。
 (朝もこんなことあったぞ・・・。)
 「いたたた、あきちゃん大丈夫?」
 普段礼乃はこんな風にスキンシップを取っているのだろうか、だとしたらどういう対応をとればいいのか是非ともご教授願いたかったものだ。
「取りあえず、どけ。」
「あきちゃん、怒ってる?」
そういうと彼女、石杖成美はすっと上からどいた。そして智晴の手を引いて立ち上がらせ、着ている服についた砂や埃をはらった。
「ごめんね、あきちゃん。いつもは耐えてくれるから今度も受け止めてくれるかと思って。」
こんな不意打ちをいつも耐えているということは余程足腰が強いのか、それともすで慣れたものなのか、どちらにせよ自分にはムリだと思った。
「もういいけど。石杖さん何か用?」
誰だって痛い思いをすれば少しは機嫌が悪くなる。そのため口調が多少きつくなった。
「そんな他人行儀にしないでよぉー・・・。」
「あ、そうだ。せっかく会ったんだから電車賃返すよ。ありがとね。」
そんな成美の様子を無視して朝に借りた電車賃を財布から取り出し差し出した。
「え、ああ、うん。」
成美はそう言うと差し出された電車賃を受け取り財布にしまった。
「あ、そうだ荷物。」
成美に気を取られて忘れていたがそういえば鞄の中身をばらまいていたんだ、と思いだ
し自分の足元辺りを見回すとジーンズ姿の下半身が見えた。
「はい、これ。」
顔をあげるとそこには秀吾の顔があった。
「あ、悪いな秀・・・。」
  「え?」
 危うく素の自分が出そうになった。名前を呼んだところで正体はばれないとは思うがいぶかしがられることは間違いなかったので咄嗟にフォローを入れた。
  「え、いや。わざわざありがとうございます。」
  「気にしないで。それじゃ。」
 「あ、ちょっと待って。」
 ついつい先ほどのことが気になり呼び止めてしまった。
 「何?」
 呼び止めたのになんでもない、というのも変な話なので仕方なく単刀直入に聞いた。
 「さっき隣を歩いていた女の子は彼女・・・?」
 「え?いや、違うけど。何で?」
 それを聞いたとき全身の筋肉の緊張がとけ、その場で崩れそうになるが後ろから成美に支えられた。大丈夫?と言われたので智晴は平気だよと返した。
 「ところであきちゃん、知り合い?」
 この会話を聞いていれば誰でもそういう疑問を抱くだろう。普通見ず知らない人に隣を歩いていたのは彼女か、などと聞くはずがない。もし聞くならばそれはナンパ以外の他にならない。
 「知り合い、ではないけれど・・・。」
 「もしかしてあきちゃん、ナンパ?積極的~♪」
 「断じて違う!!」
 誰が秀吾なんてナンパするか!僕が仮に本当に女の子でもナンパなんかしてやるか!と口には出せないと重々理解をしているので心の中で叫んでおく。
 「あのー、もういいかな?」
 苦笑いを浮かべながらこちらの様子を見ていた秀吾が後ろのほうをちらっと伺いながら言った。
 「あ、はい。ありがとうございました。」
 そう智晴が言うと秀吾はさよなら、と言い残し人ごみで待っていた蓮の元に駆けていった。さきほどのやり取りで二人が付き合っていないということはわかったがそれでも自分の親友と思い人が一緒に歩いているのは不快な気分だった。そして智晴にはまだ少しの不安要素があるのかもやもやした気分だった。
 「それじゃあきちゃん帰ろうか?それか他にどこかに寄る予定とかある?」
 「特にないよ、そのまま帰ろう。」
 そういうと智晴は駅の方へ足を向けた。
*
本日のオタク名言
何を信じてるかって?
自分を信じるしかないよね

Charlotte

by 西森柚咲
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雨宮 翼

Author:雨宮 翼
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